住宅ローンを組むタイミングときっかけ
話題の不動産プロ集団“全宅ツイ”による不動産コラム⑪
|早めにローンを組むべき理由
【返済期間に注意】
まず、いつでも35年間のローンが組めるわけではないことです。
住宅ローンはその仕組み上「最大35年」までの期間を設定できますが、いつでも35年というわけではありません。実際は最終返済時の年齢に上限が決められていることが多く、およそ70~75歳までに完済しなければならない仕組みとしている銀行が多いのです。
しかも、審査の厳しいメガバンクや上位地銀ほど若い上限設定にしている傾向があるように思えます(私が以前勤めていた銀行では70歳を完済の上限年齢としていました)。
そうすると、35年間という返済期間を得るためには、遅くても35歳までに住宅ローンを借りないといけないことになります。それ以降ですと返済期間がどんどん短くなっていき、毎月の返済額が大きくなっていく事になります。
例えば金利1%・期間35年で4,000万円借りると、概算で毎月11万円くらいの返済額になります。この期間が30年に縮まると、毎月の返済額は13万円弱程度まで増えることになります。
期間35年で13万円弱の返済額で割り返した借入額は4,500万円となり、500万円程度多く借りることが出来ます。
「今は住宅価格が高いからなぁ…」などど迷っていると、あっという間に40歳を過ぎてしまい、結局、返済額は変わらなかったということも十分にあり得るのです。
【団信加入時の否決リスク】
次に、「団体信用生命保険(いわゆる団信)」の存在があります。
意外と見過ごされがちなのですが、団信は意外と審査が厳しいのです。
民間の銀行の住宅ローンは、この団信加入が絶対条件になっています。もしも団信に加入できないとなれば、そもそも住宅ローンの審査を受けることすらかなわなくなってしまいます。
わたしは保険会社の人間ではないので詳細な審査基準は不明ですが、過去に死亡した症例のある病気を患っていると否決になるケースが存在します。また、「そんな理由で否決になるの!?」といったケースでは、なんとインフルエンザに罹患中ということで否決になったこともあります。
人間ですから、年齢を重ねれば何らかの病気になる可能性は高くなっていきます。慢性疾患にかかるとその時点で団信に入れないということも想定されます。安くなるまで待って…なんて考えていると、住宅ローン自体が組めなくなる可能性もあるのです。
このような点を踏まえると「住宅ローンはいつでも借りることが出来る」というのは大きな幻想で、実は人生において借り時は決まっているといえるのではないでしょうか。
個人的な見立てですと「ローン適齢期」は27~33歳くらいだと思います。
住宅購入を煽るわけではありませんが、住宅ローンを利用する前提であれば、「買いたいけど割高だし…」と迷っていられるほど、実は一般人の選択肢は広くないのかもしれません。
今まさに27~33歳くらいで住宅購入を迷われている方の参考になれば幸いです。
ファンドバブルを乗りこなした銀行員。数千の債務と数兆のお金の間で暮らしています。俺のスプレッドはかんなくずより薄い。住宅ローンは漢の変動・35年。
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